2012年2月23日木曜日

艶トランス白昼夢





今月5日に茨城県桜川市の「真壁のひなまつり」を見にでかけたときに「歌姫神社」というのがイラスト地図に載っていたので、ちょっと気になっていました。調べてみると奈良市には「歌姫神社」というのが昔からあるようですが、「歌姫」という言葉は近年になって中島みゆきや中森明菜が用いる以前には、ほとんど使われていないのではないかと思いました。

そして今月8日にたまたま買った白洲正子・著『道』(新潮文庫)に収録されている「桜川匂ひ」という紀行エッセイに「歌女(うたつめ)神社」という名前で出ていることを知りました。「羽鳥」という地区にあるので、真壁からはけっこう距離がありますが、真壁のひなまつりバス停のところで無料で自転車を貸し出していたことを思い出し、早速行ってみることにしました。

今日は平日なのでJR水戸線・岩瀬駅前から片道500円で真壁まで行くバスは運行されていません。つくばエクスプレス・つくば駅近くから3月3日まで毎日運行されている「ひなまつり号」(1500円)に乗ることにしました。第一便は、午前9時半の出発です。東武野田線・流山おおたかの森駅でつくばエクスプレスに乗り換えました。つくば駅まで二十数分の長くもない距離ですが電車賃は、700円もかかりました。午前9時10分頃につくば駅に到着しました。バスのチケット売り場はすぐに見つかりました。「TX」と書かれたピンク色の帽子がオマケでした。2番出口から上にあがってまっすぐ行くとバス乗り場があると言われたのに、まるで違う方向へ向かってしまったのでチケット売り場のオバチャンが走って追いかけてきてくれました(^^;)

大型観光バスが2台駐車していましたがまだ乗客はいなくて一番乗りでした。このまま他に誰も乗らないのではないかという感じでしたが、初老の夫婦2組と親爺1人、出発時刻を5分過ぎてから婆さん2人が走って来て、バスは出発しました。

昨夜から今朝にかけて雪が降ったようで、筑波のほうは埼玉より多く田畑や屋根に雪が積もっていました。

真壁には、午前10時20分くらいに到着です。前カゴ付きのチャリンコを借りました。バスが走って来た道を20分ほど自転車で戻ることになりました。

白洲正子は、風土記に書かれている「嬥歌(がいか)」(歌垣)が行われた場所として、この歌女神社が「もっともふさわしい霊地」と書いています。

「嬥歌」とは、春と秋に男女が集って酒盛りをし、求愛の歌を掛け合う年中行事のひとつであったようです。万葉集にも多くの「相聞歌」がとられています。

万葉集巻九の”鷲の住む筑波の山の裳羽服津のその津の上に率ひて未通女壮士の行き集いかがう嬥歌に人妻に吾も交らむわが妻に他も言問へこの山を領く神の昔より禁めぬ行事ぞ今日のみはめぐしもな見そ言も咎むな”(高橋虫麻呂)歌から、処女も人妻も言い寄られたらセックスを拒むことは許されなかったものだったようです。男女が睦み合うことは、筑波の神意に叶う神聖な儀式であったのかもしれません。

どんな関係なのか分かりませんが、平成15年に調布・館林・岩槻・川越の四組の夫妻によって奉納されたらしい真新しい白い石の鳥居が建っていて、「歌姫明神」の額が付いていました。これが名称を変にしてしまったものと思えます。











小さな案内標識は、「歌姫明神」と「観音堂」とがあったので観音堂の方へも行ってみることにしました。


借りた自転車は、ややタイヤの空気が甘くてわずかな坂道でもペダルがとても重くなってしまうので、上り坂では自転車をころがしながら歩くことになってしまいました。しばらく坂を登って行くと大きな門構えの家のところで鋪装道路が終わってしまいました。そこから先は林になっている裏山という感じなので自転車を置いて歩いて行くことにしました。もう長いこと人が入っていないような気がしました。


木々の中に人工的な石垣のようにも建物の基礎のようにもみえる石組みがあったりもして、だいぶ昔には大きな屋敷があったのかもしれません。


「社」というほどのものではなく木材で囲って屋根を付けただけという小さな建造物の中に「三日月尊」と彫られた石碑がありました。これが「観音堂」であるはずがないように思えました。もっと奥はそのまま筑波山になってしまいそうな山道なので、引き返そうとすると急に周りの空気が変わったような感じがして、とても清涼感のある爽やかで気持ちの良い風に包まれました。


多分、気温は5度もないくらいの寒さですが、なぜか裸になって陽の光を浴びたくなりました。草木は解けた雪や霜で濡れているので、乾いた石の上に脱いだ服を置きました。自転車で移動していたときは寒くてたまらなかったのに今は不思議と全然寒くありませんでした。草の上に腰を下ろしたときは、さすがにお尻が冷たかったですが、それもすぐに気にならなくなりました。太陽に向けて肢を開いて寝そべると凄く良い気持ちでした。


石碑などを写したカメラの撮影時刻から判断すると全裸で草むらに横たわってから十数分間の記憶が飛んでしまいました。満足感のあるセックスをした後のように膣が熱くなって濡れていました。そして、なんとなく漠然とここは「平良兼」の館であるという気がしたのでした。将門の奥方様でも憑依したのでしょうか?(笑) あるいは嬥歌にやってきた娘達とシンクロナイズする地場のようなものとたまたま遭遇したのかもしれません。


もう二年間近くセックスをしていませんが、これでまたあと二年くらいはしなくても済みそうな予感がしました。


案内標識の矢印の方向とはまるで違う方に「観音堂」らしい建物が見つかりました。ここに「准胝観音」という仏像があるようなのですが、観音堂の中を覗き込むとさらに「観音開きの扉」があって仏像は見ることができませんでした。


「歌女神社」があるところが、以前は「常陸羽鳥菅原神社」という名前だったのか、神社がふたつならんであったのかは分かりませんが、この辺りにある小碑に「常陸羽鳥菅原神社」を「下総豊田郡大生郷常陸下総菅原神社」に移したと刻まれているそうです。この小碑は特に興味が湧かなかったので探さずに済ませてしまいました。


菅原三郎景行が父である菅原道真の遺骨の一部を三年間(926年から929年まで)ほど真壁の桃山中学校近くにある「羽鳥天神塚古墳」に埋めておいて、その間に旧・水海道市に「大生郷天満宮」を造営したのだそうです。とりあえず古墳だけでも見ておこうと桃山中学校の近くまで行ってみましたが、古墳がどこにあるのか分かりませんでした。太宰府ではなく、なんで真壁なんだっぺ?(笑)












午前11時50分くらいに借りた自転車を返しました。筑波山へ向かうバスは正午に出るのかと思っていたら、12:30発でした。


193ヶ所に雛人形が飾られているようなのですが、その「ひなめぐり1」番が桜井精肉店で、享保の頃に作られた人形を展示していました。90円の”野菜サクサクコロッケ”を買って食べました(^^)


午後1時前に筑波山の観光案内所前に着きました。真壁からバスに乗ったのは、他に親爺が1人だけで、この人はつくば駅まで帰るようでした。


ケーブルカーで登ってしまうつもりでいたのですが、翌日から「梅まつり」(まだ花は全く咲いていません)が始まるので、ケーブルカーは点検整備で運休でした。ロープウェイも先月から2月21日まで運休しています。


掲示してある地図を見ると歩いて1時間半くらいで山頂まで行けそうなので筑波山神社に寄ってから「登り約50分・白雲橋コース」へと向かうことにしました。最初は気付きませんでしたが、白雲橋コースに入るまでに神社から20分と女体山山頂まで40分とケーブルカーの山頂駅まで15分が加算され、バスの最終に間に合わせるには、下山するのにかかる70分とで男体山山頂まで行く時間は残っていませんでした。


しかも昨夜の雪で登山道は、凍って滑ったり、ぬかるんでいたりしていて歩きやすくありませんでした。


「弁慶茶屋跡」を過ぎると弁慶七戻り、出船入船、裏面大黒、北斗岩などなど名前の付けられた巨石が次々とありました。女体山山頂(877m)への到着は、午後3時10分頃でした。木々に積もった雪が風で舞っているものだと思っていましたが、本格的に雪が降ってきてしまいました。


ケーブルカーもロープウェイも動いていないので、お店は全部閉まっていました。人影は皆無です。山頂近くのお店で何か食べればよいと思っていたので、結局は小さなコロッケひとつが本日の昼食となってしまいました。


最終バスが出る5分前にバス停まで戻りました。自販機で、昔は茨城県内だけでしか買えなかった「MAX」という名の缶コーヒーを買いました。この缶コーヒーは、コーヒーとは別の飲み物のような気がします。


降りてくる途中に男女の川の源流だという掲示がしてある場所がありました。





筑波嶺の峯より落つる男女の川


恋ぞつもりて淵となりぬる





”百人一首の歌で名高い男女の川は、羽鳥の村で桜川と合流する。その川上(といっても四キロぐらいしかない)に、「歌女神社」があり、嬥歌はそこで行われていたという。” 白洲正子『道』(新潮文庫)より





(掲示写真は、「イメージです」というやつで記載内容当日のものではありません)







1 件のコメント:

  1. すごいですね〜毎回お姫様の通った道が、思い浮かべられそうな、細かい描写でこちらもいっしょに出かけてる感じがします(笑)

    この近辺は、高校時代の友達も多く住んでいた地域で、だいたい学校が茨城だったもので、行く機会はいくらでもあったのに、興味を持たなかったのでぜんぜんです。

    今頃になって、でかけて行っては、こんな所があったのか…なんて思ったりしてます。

    今回もまた参考になりましたでの、神社散策とコロッケを食べに行ってみたいと思います。

    それにしても、いつも思いますけど、博識ですね〜驚きです^^
    自分がつくずくアホに思えます(笑)

    写真もここでのシーンなの?ちょっとびっくりしちゃいましたが、イメージだったんですね…

    イメージでも、いい感じです^^

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