2023年11月13日月曜日

宮崎駿の大時計








ゆりかもめの汐留駅で改札をでて、宮崎駿の大時計が見える辺りで待ち合わせをしましょう、メールにはそのようにあった。李奈はぼうっとした頭のまま、とりあえずシャワーを浴び着替えると、さっさと阿佐ヶ谷駅へ向かいだした。とりあえず汐留駅へ行けばいい。宮崎駿の大時計というのがなんなのか知らないが、行ってからスマホで検索すればどうにかなるだろう。 モノレールのゆりかもめ汐留駅を降りると、辺りは瀟洒な構想インテリジェントビルが囲む一帯で、さながら未来都市のようだった。都心というのにこの界隈は人がまばらで、通路も幅広く、環境のすべてが余裕にあふれている。 タイル張りのペデストリアンデッキを歩いていくと、行く手に超高層ビルの外壁があった。横長の大時計がへばりついているが、全面ガラス張りのモダンなビルにはまるで調和していない。中世のヨーロッパ風で『ハウルの動く城』っぽい。

松岡圭祐・著『ecriture 新人作家・杉浦李奈の推論X 怪談一夜草紙の謎』(角川文庫,2023年10月25日・刊)より引用


 

2 件のコメント:

  1. 👸姫のエッセイはやっと実時間とリンクした!!売れない作家の推理小説からの抜粋だけど。内容が気にかかる。

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  2. ラノベを読んだ感想を聞かせてください

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