2012年8月26日日曜日

荷風と歩く深川(4)



東森下町には今でも長慶寺という禅寺がある。震災前、境内には芭蕉翁の句碑と、巨賊日本左衛門の墓があったので人に知られていた。その頃には電車通からも横町の突当りに立っていた楼門が見えた。この寺の墓地と六間堀の裏河岸との間に、平家建の長屋が秩序なく建てられていて、でこぼこした歩きにくい路地が縦横に通じていた。長屋の人たちはこの処を大久保長屋、また湯灌場大久保と呼び、路地の中のやや広い道を、馬の背新道と呼んでいた。道の中央が高く、家に接した両側が低くなっていた事から、馬の背に譬えたので。歩き馴れぬものはきまって足駄の横鼻緒を切ってしまった。
   (永井荷風「深川の散歩」より抜粋)



2 件のコメント:

  1. 長慶寺はグルグル地図で画像確認できました、閑静な所ですね。馬の背の道か、若い人には雰囲気分からないだろうな。その前に鼻緒が切れる経験もないだろうしね(^^)

    グルグルクロームですが、最近凄く使いにくくなったので閉口しています。姫様何使ってる?

    返信削除
  2. やはり「ぐっちょめ(Google Chrome)」を使っていますが、強制終了すると開いていたところを「復元」できなくなることがよくあります。ブックマークの仕方などは、つい最近になってやっと分かりました(^^;)
    大昔の「NetCapter」というブラウザが好きなのですが、YouTubeなどの動画を再生できません。

    返信削除