2012年4月19日木曜日

玉虫色の誤記ぶり似て候



昨日たまたま『源氏物語』を拾い読みしていたら「野分」に”気高く清らにさと匂ふ心地して春の曙の霞の間よりおもしろき樺桜の咲き乱れたるを見る心地す”という一節がありました。
白洲正子は「桜川匂い」で”稲村神社の桜は、おおむね白山系の山桜で、先に記した「桜川匂い」のほかに、「白雲桜」、「大和桜」、「源氏桜」など、十何種類かある。また「桜川」の謡曲から出たと思われるものに、「青柳の糸桜」と「樺桜」があり、後者は樺色の芽が美しいので名づけられたと聞く。が、本来は「加波山」の花から起こったのであろう。”と書いていました。
『源氏物語』が書かれた時代にすでに桜の一品種名であった「樺桜」が「加波山」に由来するはずはありません。でも明らかに誤った記述だったとしてもそれで白洲正子による文章の魅力が減じるわけではないところが、逆に「凄い!!」のかもしれません。


1 件のコメント:

  1. 源氏物語をこんな風に取り入れてくれると、内容が理解できてありがたいです。世間を騒がせたひとはみんな凄いんじゃないのかにゃあ。オイラはリアリストなので、石原慎太郎都知事がすごいと思ったりしました(^^;

    姫のブログは内容が深いね (笑)

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